井上尚弥の4団体統一とは?徹底解剖します。 ボクシング世界タイトル 偉業だらけの実績をまとめてみました。これを知れば自慢できる!?どこよりも詳しくそのすごさを解説します。

ボクシング アシヤタガラスの語り(歴史・人)

こんにちは、三度の飯よりサンドバッグが好き(嘘)、アシヤタガラスです。

2023年7月25日
WBC,WBOスーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン戦が迫っている井上尚弥選手、
これまで数々の偉業を成し遂げてきた彼ですが、その中でも燦然と輝く
バンタム級4団体統一という偉業の、他には無い凄さについて語っていきたいと思います。

*2023年9月3日に記事を更新しました。

まさに前人未踏の記録!

2022年12月13日、日本が誇る井上尚弥選手が
WBO世界バンタム級王者ポール・バトラーとタイトルマッチを行い、
11R TKO勝ちを収めました。

見事WBO王座を掴むとともに、主要4団体王座統一を成し遂げましたが、
その後井上選手を巡る周囲環境はめまぐるしく状況が変わり、
日替わりでニュースが飛び交っているような状況。

もはや4団体統一の偉業は遠い昔のようにさえ思えます。
更に、年が明けた2023年1月13日、4団体を取ったそのちょうど一か月後に
タイトルの全て返上し、スーパーバンタム級への昇級を表明しています。

4団体の統一は、長い長いボクシングの歴史の中でも9人しかいません
その中の一人が我らが井上選手なのですが、その中でも井上選手は
他の4団体統一チャンピオンにはない成績があり、まさに前人未踏の記録となっています。

アシヤタガラス
アシヤタガラス

では、彼の記録の何が前人未踏なのでしょうか?
記録の中身を他の8選手の記録とともに振り返って比較してみましょう。

井上選手の4団体統一の軌跡

まず、彼の偉業の軌跡をたどってみましょう。

2018年5月
スーパーフライ級からバンタム級へ昇級した初戦WBA王者ジェイミー・マクドネルに挑戦
衝撃の1R TKO勝利を挙げました。
3階級目(実質は4階級目)の初戦でいきなりの1つ目のタイトル戴冠。

2019年5月
バンタム級3戦目、WBSSトーナメント2回戦で、
IBF王者エマヌエル・ロドリゲスにまたも衝撃の
2R TKO勝利
2タイトル目のIBF王座とともにリングマガジン王座を獲得。

この試合は、数々の強者たちをなぎ倒してきた彼が、
階級最強と言われたロドリゲスに圧倒的な勝利を収め、
世界に大きく名を売った試合でもありました。

2019年11月
バンタム級4戦目、WBSSトーナメント決勝戦で、
WBAスーパー王者、ノニト・ドネアにキャリア初の苦戦を喫したものの、
12R判定で3-0の勝利。
WBA王座を統一し、WBSSトーナメント優勝トロフィーを獲得。

老いたとはいえドネアは圧倒的なパワーと当て勘を持つ伝説の選手、
2Rにドネアの伝家の宝刀左フックで顔面骨折の重傷を受けるも
フルラウンドを戦い抜くスタミナとタフさ、試合巧者ぶりを示し、
井上選手が全能的な強さを証明した試合でもありました。

2022年6月
バンタム級8戦目WBC王者ノニト・ドネアと再戦。
井上戦の敗戦から見事にカムバックし、
WBC王座を得て井上選手への挑戦権を得たドネアに対し、
前回の苦戦を上塗りする圧倒的なパフォーマンスでまたも衝撃の
2R TKO勝利をおさめ、3タイトル目を獲得。

因縁のドネアとの勝負に明白な形で決着をつけたことが世界的にも評価され、
リング誌のパウンド・フォー・パウンド1位を獲得。
バンタム級だけでなく、全階級において現役最強ボクサーの称号を得ました。

2022年12月
バンタム級9戦目、WBO王者ポール・バトラーに11R KO勝利
ついに念願の4団体すべてを獲得

2023年1月、バンタム級においてすべてを得た井上選手は、
4団体のベルトすべてを一度に返上し、
次戦でスーパーバンタム級へ昇級することを表明しました。

4団体獲得にかかった期間は、4年7か月

ライトフライ級で初の世界タイトルを獲得した彼は、
スーパーライト級でもタイトルを得てバンタム級で3階級制覇し、
 (フライ級を飛び越えた飛び級なので、実質4階級
3階級目で4団体統一を果たしました。

1タイトル目を取った時点での戦績は16戦16勝14KO無敗、
4タイトル目を取った時点での戦績は24戦24勝21KO無敗。
その間、9戦9勝8KO無敗

各タイトルを得た試合での総ラウンド数は16ラウンド。
1試合平均では4ラウンド

どうですか、この圧倒的な軌跡・・・
改めて文字に起こしてみると、とんでもないですね。
まさにモンスターです。

さらに2023年7月25日にはスーパーバンタム級WBC・WBO統一王者の
スティーブン・フルトンに圧勝
し2団体王者となった井上選手。

次戦で同階級WBA・IBF統一王者のマーロン・タパレスとの試合が内定しており、
2023年中にはテレンス・クロフォード次ぐ史上2人目の
2階級にまたがる4団体統一王者に王手をかけています。

歴代4団体統一王者の戦績をご紹介

ここで、歴代の4団体統一王者をご紹介します。長い歴史でも9人しかいない4団体統一王者、いずれも名チャンピオン、猛者ぞろいです。

①バーナード・ホプキンス

1995年4月にIBFミドル級王座を獲得し、2004年9月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、9年5か月

ライトヘビー級でプロキャリアをスタートさせたホプキンス、
世界タイトルを手にしたのはミドル級とライトヘビー級の2階級制覇王者ですが、
(スーパーミドル級を挟んだ飛び級で実質3階級制覇とも言えます)
キャリア1階級目のミドル級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はIBFランカーのセグンド・メルガドと王座決定戦を行い、7R TKO勝利

2タイトル目はWBC王者キース・ホームズ相手に12R判定勝利

3タイトル目はWBA王者フェリックス・トリニダード相手に12R TKO勝利
4選手によるトーナメントによる現在のWBSSにも似た試合の中での勝利でした。
同時にリングマガジン王者にも輝きました。

4タイトル目はWBO王者オスカー・デ・ラ・ホーヤ9R KO勝利
4団体を統一するに至りました。

4団体を1試合ずつ得たのは井上選手と同じで、そのうちKOは3試合
世界王者との戦いは3試合でした。

1団体目を得た時点で30戦27勝21KO2敗1分、
4団体目を得た時点で49戦45勝33KO2敗1分1無効試合。
その間、19勝13KO無敗1無効試合という、圧倒的な戦績でした。
既に引退しており、最終戦績は、67戦55勝32KO8敗2分2無効試合。

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、40ラウンド。1試合あたり10Rです。

リング誌のPFP1位に2度輝いている選手でもあります。

また、
フェリックス・トリニダード
オスカー・デ・ラ・ホーヤ
というスター選手相手にもKOで勝利しているところが、
彼の記録のすごさを際立たせています。

タイトルを失ったのは、2005年7月。
ジャーメイン・テイラーに敗戦したことで4団体すべてのベルトを一度に失いました。
在位期間は10か月でした。

ミドル級は当時も今も多くの有力ボクサーが鎬を削る激戦階級で、
その中で長期間に渡って王者として君臨したことが、
何よりも彼のすごさを物語っていると思います。

4団体統一を果たしたのは、なんと39歳のときでした。

②ジャーメイン・テイラー

2005年7月に前述の世界ミドル級4団体統一王者バーナード・ホプキンスを下し、
一挙に4団体を得ました。

ミドル級でプロキャリアをスタートさせたテイラー、
世界タイトルを手にしたのもミドル級のみでした。

4団体を得た試合はWBA,WBC,IBF,WBO統一王者のバーナード・ホプキンスに挑戦し、
12R 判定勝利

4団体を1度に得、その内容は判定勝利
コスパのよい4団体統一だったといってよいでしょう。
総ラウンド数および1試合あたり12Rでした。

4団体目を得た時点で24戦24勝17KO無敗。
その後、バーナード・ホプキンスと再戦するにあたって
2005年10月にIBF王座を返上したため、在位期間は5か月

4団体王者に関する試合は掛けた試合はバーナード・ホプキンスとの初戦のみだったため、
1戦1勝1判定勝利ということになります。
既に引退しており、最終戦績は、38戦33勝20KO4敗1分。

調べましたがリング誌のPFP1位には輝いていないようです。

キャリア後半では脳内出血による記憶障害や私生活での度重なる逮捕など、
波乱万丈な人でもあるようです。

③テレンス・クロフォード

2015年4月にIBFスーパーライト級王座を獲得し、
2017年8月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、2年4か月

ライト級でプロキャリアをスタートさせたクロフォード、
ライト級、スーパーライト級、ウェルター級の現役3階級制覇王者ですが、
キャリア2階級目のスーパーライト級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はWBOランカーのトーマス・ドゥローメと王座決定戦を行い、
6R TKO勝利

2タイトル目はWBC王者ビクトル・ボストル相手に12R判定勝利
同時にリングマガジン王者にも輝きました。

3,4タイトル目同時に獲得し、WBA,IBF統一王者ジュリアス・インドンゴ相手に
3R KO勝利。4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は3試合で、そのうちKOは2試合
世界王者との戦いは2試合でした。

1団体目を得た時点で26戦26勝18KO無敗、
4団体目を得た時点で32戦32勝23KO無敗。
その間、7勝6KO無敗という、圧倒的な戦績でした。

現役選手でもあり、現役の4団体統一王者でもあります。
現在の最新戦績は、39戦39勝30KO無敗。(2023年7月現在)

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、21ラウンド。
1試合あたり7Rです。

2023年8月のリング誌ランキングでは、念願のPFP1位にランクされました。

ユリキリオス・ガンボアやアミール・カーン、
ケル・ブルック、ショーン・ポーターなど
テクニシャンとして知られ世界にも名が売れている選手と対戦し圧倒的なKO勝利を挙げたことから
現役最強ボクサーとして挙げられることも多いクロフォードですが、
意外にも4団体を得る道の中であまり名の通った選手とは対戦していませんでした。

タイトルを失ったのは、2017年8月。
IBFスーパーライト級王座を返上したことで4団体王座としての立場を放棄しました。
在位期間はわずか12日間でした。

4団体統一王者と3階級制覇王座、高いKO率、
スイッチを駆使した試合運び、的確なカウンター技術など、
数々の実績と圧倒的な実力で多くの称賛を得ているクロフォード。

現在のウェルター級でも4団体統一に近いと言われていますが、
そのあまりにスマートすぎる戦いからいまいち人気を得ていない印象があり、
マッチメークに恵まないクロフォード、キャリア終盤に差し掛かった彼の今後が気になりますね。

④オレクサンドル・ウシク

2016年9月にWBO世界クルーザー級王座を獲得し、
2018年7月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、1年10か月

クルーザー級でプロキャリアをスタートさせたオレクサンドル・ウシク、
世界タイトルを手にしたのはクルーザー級、ヘビー級の2階級制覇王者ですが、
(ブリッジャー級を挟んだ飛び級で実質3階級制覇とも言えますが、
 世間一般ではブリッジャー級は正式な階級とは認められていません。
 筆者もブリッジャー級をカウントせず、2階級制覇とみなします)
キャリア1階級目のクルーザー級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はWBO王者のクシシュトフ・グウォヴァツキと王座決定戦を行い、
12R判定勝利

2タイトル目はWBC王者マイリス・ブリエディス相手に
12R判定勝利

3,4タイトル目はWBA,IBF統一王者のムラト・ガシエフ相手に
12R判定勝利。4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は3試合でで、
そのうちKOは0試合
世界王者との戦いは3試合でした。

1団体目を得た時点で10戦10勝9KO無敗、
4団体目を得た時点で15戦15勝11KO無敗。
その間、6勝2KO無敗という戦績でした。

ウシクは現役ボクサーであり、現在の戦績は20戦20勝13KO無敗。(2023年7月現在)

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、36ラウンド。
1試合あたり12Rです。

リング誌のPFP1位に輝いていたことのある選手でもあります。

2019年3月に王座を全て返上してヘビー級への昇級を表明したことで
4団体すべてのベルトを一度に失いました。
在位期間は8か月でした。

無差別級であるヘビー級で現在3団体の王座を得ている、
全階級でも最強と称する専門家もいる強さ。

彼の強さは技術と間合いの巧みさであり、
今後もヘビー級で勝ち星を重ねていくであろうことが見込まれます。

⑤ジョシュ・テイラー

2019年5月にIBF世界スーパーライト級王座を獲得し、
2021年5月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、2年0か月

スーパーライト級でプロキャリアをスタートさせたジョシュ・テイラー、
世界タイトルを手にしたのはスーパーライト級の1階級制覇王者で、
キャリア1階級目のスーパーライト級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はIBF王者のイバン・バランチェクと王座決定戦を行い、12R判定勝利

2タイトル目はWBAスーパー王者レジス・プログレイス相手に12R判定勝利
WBSSトーナメントで優勝を飾りました。

3,4タイトル目はWBC,WBO統一王者のホセ・カルロス・ラミレス相手に12R判定勝利
4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は3試合でで、そのうちKOは0試合
世界王者との戦いは3試合でした。

1団体目を得た時点で15戦15勝12KO無敗、
4団体目を得た時点で18戦18勝13KO無敗。
その間、4勝1KO無敗という戦績でした。

ジョシュ・テイラーは現役ボクサーであり、現在の戦績は20戦19勝13KO1敗。(2023年7月現在)

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、36ラウンド。
1試合あたり12Rです。

リング誌のPFP5位が最高位です。

2022年5月。指名試合を拒否したことでWBA王座を剥奪されたことで
4団体統一王者としての地位を失いました。在位期間は1年でした。

スーパーライト級では最強の呼び声があるものの、圧倒的な強さがあるという印象はなく、
体格差とリーチを活かした戦いで勝ってきたという印象のジョシュ・テイラーです。

⑥サウル・アルバレス

2018年12月にWBA世界スーパーミドル級王座を獲得し、
2021年11月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、2年11か月

スーパーウェルター級でプロキャリアをスタートさせたサウル・アルバレス、
世界タイトルを手にしたのはスーパーウェルター級の1階級制覇王者で、
キャリア3階級目のスーパーミドル級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はWBA王者のロッキー・フィールディングと王座決定戦を行い、3R TKO勝利

2タイトル目はWBAスーパー王者カラム・スミス相手に12R 判定勝利
WBA王座の統一とWBC王座とリングマガジン認定王座を獲得しました。

3タイトル目はWBO王者のビリー・ジョー・ソーンダース相手に8R TKO勝利

4タイトル目はIBF王者のカレブ・プラント相手に11R TKO勝利
4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は4試合で、
そのうちKOは3試合世界王者との戦いは4試合でした。
カラム・スミスはWBC王座を保持していませんでしたが、
WBAスーパー王者だったので、王者扱いとします。

1団体目を得た時点で54戦51勝35KO1敗2分、
4団体目を得た時点で60戦57勝39KO1敗2分。
その間、7勝5KO無敗という戦績でした。

サウル・アルバレスは現役ボクサーであり、
現在の戦績は63戦59勝39KO2敗2分。(2023年7月現在)
現在も4団体統一王者として君臨しています。

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、34ラウンド。
1試合あたり8.5Rです。

リング誌のPFP1位にも輝いている選手です。

ライトヘビー級を制覇して4階級制覇王者となったカネロ(サウル・アルバレス)。
ドーピング疑惑や同級WBAスーパー王者ビボルに敗れたり、
最近では判定勝利ばかりで、パッとしない戦いぶりが続いていると言われており、
あまり評価していないファンも多い彼ですが、

フロイド・メイウェザー、ミゲール・コット、アミール・カーン、
ゴロフキン、セルゲイ・コバレフといった歴戦の猛者たちを
対戦相手として選んできた中での、この戦績に称賛を送らない人間はいないでしょう。

⑦ジャーメル・チャーロ

2016年5月にWBC世界スーパーウェルター級王座を獲得し、
2022年5月に同階級で4団体を統一しました。その期間、6年0か月

スーパーウェルター級でプロキャリアをスタートさせたジャーメル・チャーロ、
世界タイトルを手にしたのはスーパーウェルター級の1階級制覇王者で、
キャリア1階級目のスーパーウェルター級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はWBC2位のジョン・ジャクソンと王座決定戦を行い、8R TKO勝利
その後トニー・ハリソンに敗北して王座を失うも、再戦してWBC王座に返り咲きました。

2,3タイトル目はWBAスーパー,IBF統一王者ジェイソン・ロサリオ相手に8R KO勝利

4タイトル目はWBO王者のブライアン・カスターニョ相手に10R KO勝利
4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は3試合でで、そのうちKOは3試合
世界王者との戦いは2試合でした。

1団体目を得た時点で28戦28勝14KO無敗、
4団体目を得た時点で37戦35勝19KO1敗1分。
その間、8勝6KO1敗1分という戦績でした。(2023年7月現在)

その後は試合を行っていないため、現在も4団体統一王者として君臨しています。

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、26ラウンド。
1試合あたり8.7Rです。

リング誌のランキングはPFP10位が最高位です。

戦績を見てもわかるように、KO率は中量級にしては5割強と高くなく、
判定に助けられた勝利や引分けがいくつかあることもあり、
その実力を疑問視する声も多数あるジャーメル・チャーロ。

過去の対戦相手を見ても、世界に名の通った選手は無く、
カネロが居なくなった後のスーパーウェルター級を狩場にしている、との見方があるようです。

⑧デヴィン・ヘイニー

2019年9月にWBC世界ライト級暫定王座を獲得し、
2022年6月に同階級で4団体を統一しました。
その期間、2年9か月

ライト級でプロキャリアをスタートさせたデヴィン・ヘイニー、
世界タイトルを手にしたのもライト級の1階級制覇王者で、
キャリア1階級目のライト級で4団体制覇の道をスタートさせます。

1タイトル目はWBCランカーのザウル・アブドゥラエフと暫定王座決定戦を行い、4R TKO勝利
その後、正規王座に格上げされました。

2,3,4タイトル目
WBAスーパー,WBCフランチャイズ,WBO,IBF統一王者ジョージ・カンボソスJr相手に
12R 判定勝利。4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は2試合で、
そのうちKOは1試合世界王者との戦いは1試合でした。

1団体目を得た時点で23戦23勝15KO無敗、
4団体目を得た時点で28戦28勝15KO無敗。
その間、6勝1KO無敗という戦績でした。

現在の戦績は、30戦30勝15KO無敗、4団体統一王者として君臨しています。(2023年7月現在)

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、16ラウンド。1試合あたり8Rです。

リング誌のランキングはPFP8位が最高位です。

ヘイニーもまた、KO率は中量級にしては5割と高くない選手です。
とはいえ、確かな技術でほぼ全ての試合で明確な勝利を得ているボクサーであり、
玄人からの評価は高い選手です。
しかし、4団体統一王者に相応しい”華”があるかと言われると・・・

⑨井上尚弥 (1階級目)

詳細は上述のとおりです。

⑩テレンス・クロフォード (2階級目) ←New!

クロフォードはスーパーライト級に引き続き、
ウェルター級においても4団体統一王者となり、
史上初の2階級にまたがる4団体統一王者となりました。

2018年6月にWBO世界ウェルター級王座を獲得し、
2023年7月に同階級で4団体を統一しました。その期間、5年1か月

ライト級からキャリアをスタートしたクロフォードはウェルター級が3階級目です。

1タイトル目はWBO王者のジェフ・ホーンとに9R TKO勝利

2,3,4タイトル目はWBAスーパー,WBC,IBF統一王者エロール・スペンスJr相手9R TKO勝利
4団体を統一するに至りました。

4団体を得る間に経た試合数は8試合で、
そのうちKOは8試合とすべての試合でKO勝利を得ています。
世界王者との戦いは2試合でした。

1団体目を得た時点で33戦33勝24KO無敗、
4団体目を得た時点で40戦40勝31KO無敗。
その間、8勝8KO無敗という圧倒的な戦績でした。
現在の戦績は、30戦30勝15KO無敗、現役の4団体統一王者として君臨しています。

世界タイトルを得た試合での総ラウンド数は、65ラウンド。
1試合あたり8.1Rです。

そしてついにリング誌のランキングでも念願のPFP1位を得るに至りました。

最強との呼び声もあったエロール・スペンスに圧勝したことで
名実ともにウェルター級最強の王者となったクロフォード。

史上最強にクロフォードの名を挙げる関係者も多くいるようですね。

⑪井上尚弥 (2階級目) 予定

2023年7月にスーパーバンタム級WBC・WBO王者となった井上尚弥選手。
同級でも4団体統一王者に向けて邁進中です。

4団体統一王者 全9選手を一覧表にしてみた

獲得
期間
獲得
階級
*統一時
4団体
統一
総試合数
王座
獲得戦
KO数
対王者
回数
王座
獲得戦
回数
王座
獲得戦
平均
R数
PFP
最高位
4団体
統一王座
在位期間
①バーナード・
ホプキンス
9年
5か月
11933410110か月
②ジャーメイン・
テイラー
1日101112-5か月
③テレンス・
クロフォード
2年
4か月
272227112日
④オレクサンドル・
ウシク
1年
10か月
160331218か月
⑤ジョシュ・
テイラー
2年
0か月
140331251年
⑥サウル・
アルバレス
2年
11か月
373448.51*1年7か月
⑦ジャーメル・
チャーロ
6年
0か月
183238.710*1年1か月
⑧デヴィン・
ヘイニー
2年
9か月
1611288*1年
井上尚弥4年
7か月
3
(実質4)
9444411か月
⑩テレンス・
クロフォード
(2階級目)
5年1か月392228.11*1か月
⑪井上尚弥?
(2階級目)
5か月 4 ?(実質5)2 ?2 ?2 ?2 ???1??

* 現役4団体統一王者。2023年9月3日時点。

改めて井上尚弥選手のすごさを振り返りましょう

彼のバンタム級における4団体統一までの道のりにおける戦績が、
いかに偉業に溢れているか、他の統一王者たちと比較してみましょう。

4団体を1戦ずつ獲得

井上選手は、ジェイミー・マクドネル、エマヌエル・ロドリゲス、
ノニト・ドネア、ポール・バトラーの4王者と1戦ずつ戦い、王座を獲得しています。

他に4団体を1戦ずつ獲得したのは、バーナード・ホプキンスとサウル・アルバレスのみです。

4団体を獲得した期間

井上選手は、最初にWBA王座を得て、
4団体目のWBO王座を得るまでに約4年と7ヶ月を費やしました。

この間、多くの指名試合にも敗れることなく、王座を保持し続けていました。

他の統一王者と比較すると、バーナード・ホプキンスの9年5か月、
ジャーメル・チャーロの6年0か月の次に長い獲得期間となっており、
井上選手の安定した戦いぶりが光ります。

4団体全てKO勝利で獲得

よく言われるのは、この記録ですね。

井上選手は先述の4王者を全てKOで下しています。
他に4団体全てをKOで獲得した選手はいません
この記録は、彼が初めて実現した大偉業なのです。

ですが、実はこのKO勝利による統一記録については、ケチをつける人もいます。
その理由は、WBAはスーパー王者が正規の王座であり、
他団体はWBAレギュラー王者を正規の王座とは認めていないため、
WBA王座を獲得したのはWBA"レギュラー"王者だったジェイミー・マクドネルとの一戦ではなく、
WBAスーパー王者だったノニト・ドネアとの一戦で得た勝利こそが
該当するのでは、ということです。

ノニト・ドネアとのWBSS決勝は
12R判定までもつれた大激戦だったことも記憶に新しいですよね。

この一件を指して、4団体のKOによる統一にイチャモンをつけている人もいますが・・・
まぁ、それを言い出したらWBAレギュラー王座は王者と認められない、
ということになるし、固いことは言いなさんな、というのが筆者の考えです。

一ファンとして、この4団体統一という最高のエンターテインメントを、
素直にWBAレギュラー王座をKOで獲得したことを以って讃えようじゃあありませんか。

4団体全て王者相手の勝利

これはあまり言われていないと思うのですが、
ランカーとの王座決定戦や暫定王座決定戦ではなく、
4団体全て王者相手から奪っているのです。

他の統一王者で、4団体を4人の王者相手から奪ったのは、
バーナード・ホプキンスとサウル・アルバレスのみです。

4団体統一王座返上までの速さ

井上選手は、2022年12月3日に4団体統一を成し遂げ、
翌年1月11日に全てのタイトルを返上しました。
その在位期間は実に1か月です。
他には12日で返上したテレンス・クロフォードがいます。

これをバンタム王座の防衛戦から逃げた、
と評する人間はまさかいないとは思いますが、
そういういちゃもんは抜きにして、得たタイトルによる栄光にしがみつかず、
更に強い相手を求めて昇級し、それに伴い潔くタイトルを返上しています。

最近は、タイトルを保持したまま昇級し、
タイトルマッチを行ってタイトルを得てからどちらかを返上する、
といった悪しき慣例ができつつあります。

同じく4団体統一現役王者のカネロ・アルバレスしかりです。
井上選手が目下のターゲットに定めているWBC・WBO統一王者スティーブン・フルトンも、
王座を保持したままフェザー級への昇級をほのめかしたこともあります。

そんな彼らに対して、井上選手のなんとも潔い振る舞いでしょうか。

バンタムに戻るという退路を断ち、いまの名声を捨てる覚悟で次の階級に挑む。
それが世界王者のあるべき姿であったはずですし、
そういう潔さがボクシングファンには受けてきたのです。

いつしか、団体がタイトルを保持したたまま昇級することを暗黙するようになった
ボクシング業界ですが、かつては即座にタイトル剥奪となっていた行為であったはずなのです。
今一度、ファンの声を聴き、王座の格を取り戻してほしいですね。

最軽量の4団体統一王者

井上選手はバンタム級で4団体を統一。
これは歴代で最軽量の偉業です。
他の団体で最も軽いのは、ライト級統一王者のデヴィン・ヘイニーです。
彼の階級と比べても4階級の差があります。

軽量級は団体統一王者が生まれにくい、と言われている中での彼の偉業はまさに前代未聞です。

3階級目(実質4階級目)での4団体統一王者

井上選手は、ライトフライ、スーパーフライ、バンタムと3団体で世界王者になっています。
しかも、フライ級は飛び級であり、実質的には4階級制覇王者であると言われています。
他にはサウル・アルバレスの3階級制覇がいますが、ここでも井上選手の偉業が際立ちます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

井上尚弥選手の達成したことが、いかにすごいことだったのか、本稿で分かったと思います。
欧州サッカーでいうとトレブル、
野球でいうとペナント優勝+QS/NS全勝優勝、
相撲でいうと、年間の場所を全て全勝で優勝した、
みたいなもんです。

それがとんでもない偉業であることは、容易にわかることだと思います。
いやいや、筆者みたいな凡人には全く理解できない所業なんですけどね・・・

今後はスーパーバンタムへ昇級し、また4団体統一を目指すことを公言している井上尚弥選手。
今後の活躍から目が話せませんね。

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