2023年9月にラグビーワールドカップが開幕します。
それに先駆け、急ぎ足で有力国の紹介をしたく、
簡単ではありますが各国のラグビーの歴史や特徴をまとめてみました。
2023年ラグビーワールドカップ プール分け
プールステージはA~Dに分かれており、それぞれ以下のチームで構成されています。
プールA ニュージーランド フランス イタリア ウルグアイ ナミビア
プールB 南アフリカ アイルランド スコットランド トンガ ルーマニア
プールC ウェールズ オーストラリア フィジー ジョージア ポルトガル
プールD アルゼンチン イングランド 日本 サモア チリ
ラグビー強豪国を簡単におさらい、ご紹介
イギリス発祥のスポーツであるラグビーですが、
ワールドカップ優勝国のほとんどが南半球勢で占められており、
歴史的には南半球が主導してきたスポーツである、と言えます。
そんな南半球には、どのような強豪国がいるのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
南半球勢
まずは、南半球勢から。
有力7チームを一挙ご紹介。
ニュージーランド (オールブラックス)
常勝軍団、ニュージーランドからご紹介します。
現在の世界ランキングは4位です。(2023年9月6日時点)
ニュージーランド代表、愛称オールブラックスは、
過去3回優勝の実績と圧倒的な総合力、魅力的なラグビーを展開する
名実ともに世界で最も力のあるラグビーチームであると言っても過言ではないでしょう。
攻撃的なラグビースタイルと多彩な個人技で多くのラグビーファンを唸らせるチームであり、
ラグビー界の人気を支えてきたチームでもあります。
ラグビーと言えば、まずニュージーランドの漆黒のジャージをイメージする人も多いのではないでしょうか。
その圧倒的な実力から、ワールドカップでは常に優勝候補筆頭に挙げられつつも、
第2回から第6回大会までは大事なところで敗戦を重ね、
勝負弱さや意外な脆さを指摘されることも多かったニュージーランドですが、
第7回・第8回大会を連覇し、過去のネガティブな想い出とは訣別することに成功しました。
ラグビースタイルは、スタンダードスタイルと変幻自在を併せ持ちます。
正確なキックと強力フォワード陣による陣地取り合戦、
個性あふれるバックス陣による切れ味抜群のラン、
など多くの特長を持ち、どこからでも得点ができるチームです。
相手の守備の穴を見つけることに長けている選手が多く、
少しも気が抜けないチームとして対戦相手を震え上がらせるチームです。
一方で防戦気味になる試合展開には弱く、
攻撃力に優れたチーム相手には思いもかけない脆さを見せて敗戦することもあります。
近年、フォワード陣の力が落ちてきたと言われており、
攻守の底上げが出来ていないのではないか、という声も聞こえてくるニュージーランド。
優勝候補筆頭に挙げられるとはいえ、頭一つ抜け出ているとは言えない今大会で
どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみな存在です。
個人的注目選手 3選
シャノン・フリゼル
リッチー・モウンガ
ウィル・ジョーダン
南アフリカ (スプリングボクス)
次に、南アフリカをご紹介します。
現在の世界ランキングは2位です。(2023年9月6日時点)
南アフリカ代表、愛称スプリングボクスは、
ニュージーランドと同じ過去3回の優勝回数を誇る、ラグビー界の巨人です。
伝統的に世界最強のフォワード陣を誇り、体格を活かしたパワーあふれるラグビーを展開します。
ラグビーで最も重要と言われるフォワード力で大きなアドバンテージを持つ
南アフリカは、その圧倒的なフォワード力によって他チームを蹂躙してきました。
唯一、ニュージーランドと比肩しうる実績・実力を持ったチームであると言えます。
前回大会の優勝国でもある南アフリカは、今大会でも優勝候補の一角に挙げられています。
前回大会からフォワード陣とバックス陣の力は強化され、今大会に望む南アフリカ。
そこに死角は見当たりません。
前回のような快進撃がみられると期待する人も多いのではないでしょうか。
個人的注目選手 3選
フランコ・モスタート
ファフ・デクラーク
チェスリン・コルビ
オーストラリア (ワラビーズ)
次に、世界3強の一角、オーストラリアをご紹介します。
現在の世界ランキングは9位です。(2023年9月6日時点)
オーストラリア代表、愛称ワラビーズは、
過去2回の優勝回数を誇る、押しも押されぬ強豪国です。
長短のハイテンポなパスワークを中心とした攻撃と、
機動力を活かした的確な守備で最強国の一角を占めています。
2015年の準優勝以降、チーム力が下がっていると言われていますが、
ラグビーが国技扱いとなっているニュージーランドや南アフリカと比べて、
オージーボールやリーグラグビー、サッカーなどほかのスポーツへの
選手流出が多く、ラグビーが底上げされないという事情もあるようです。
しかし今大会は、前々大会で日本を率いて南アフリカを下し、
前大会ではイングランドを率いて準優勝を収めるなど、
輝かしい実績を引っ提げて母国の代表監督に返り咲いた、
エディー・ジョーンズがチームを率いています。
彼なら、何かを成し遂げてくれる、そう期待するファンも多いのではないでしょうか。
個人的注目選手 3選
タニエラ・トゥポウ
ニック・ホワイト
ジョーダン・ペタイア
アルゼンチン (ロス・プーマス)
次に、南半球の雄、アルゼンチンをご紹介します。
現在の世界ランキングは6位です。(2023年9月6日時点)
アルゼンチン代表、愛称ロス・プーマスは、
ワールドカップでもベスト4を2回経験するなど、
確かな実力を誇るチームです。
過去には当時の優勝候補だったフランスやアイルランドを破るなど、
ワールドカップではダークホースとして世間を驚かせ続けてきたチームです。
決して新興国であったわけではなく、1987年の第1回大会から出場を果たし、
1999年の第4回大会ではアイルランドを下して初の決勝トーナメント進出。
それ以後は決勝トーナメント常連国として古豪ながら進歩を続けているチームです。
ラグビースタイルは、南アフリカに匹敵するとも言われる
フォワード陣を活かした、手堅いラグビーを特徴としています。
一方でサッカー強豪国でもあるためか、キック力に長けた選手が多く、
性格無比かつ多彩なキックを持つ選手が次から次へと生まれてくるのが魅力です。
最近ではニュージーランドに初めて勝利を収めたり、
南アフリカやオーストラリアといった格上の優勝経験国に対しても勝利を重ねるなど、
着実に実力を蓄えています。
今大会、ふたたび台風の目となるのか、注目です。
個人的注目選手 2選
アグスティン・クレビ
ニコラス・サンチェス
フィジー、サモア、トンガ 南太平洋諸島の強豪たち
南太平洋諸島の強豪国、フィジー・サモア・トンガをご紹介します。
まずフィジーです。
現在の世界ランキングは7位です。(2023年9月6日時点)
フィジーは、フィジアンマジックとも呼ばれる魔法のようなラグビーを展開します。
変幻自在なランで相手を幻惑し、長いパスを駆使した
ピッチ広く展開するラグビーを得意としています。
一方で守備は脆いというのが評判で、フォワードはフィジカルで押されることも多く、
防戦に回るとなすすべなく敗北するのが今までのフィジーでした。
ですが、近年はそのような傾向が改善され、
格上と見られていた日本にも勝利し、今年に入ってから
遂に優勝候補のイングランドを破るまでに急成長しているのがフィジーです。
今大会、どれだけ世間を驚かせてくれるのか、非常に楽しみなチームです。
次は、サモアです。
現在の世界ランキングは12位です。(2023年9月6日時点)
サモアはかつて南太平洋諸島では最も実績のあるチームであり、
決勝トーナメントにも進出したことのある強豪国です。
近年は有力なバックス陣が抜けた影響か、
少し力を落としている印象です。
最後は、トンガです。
現在の世界ランキングは15位です。(2023年9月6日時点)
トンガも今大会では力を見せることなく敗退することになりそうです。
現在のトンガは元気がなく、周辺国や日本などにも敗戦を続けているのが現状です。
この3か国はニュージーランドやオーストラリアにも多くの選手を輩出しており、
もし彼らが母国代表として活躍することがあれば、、、
という妄想をしてみるのも楽しいですよね。
北半球勢
次に、北半球勢を見ていきましょう。
イングランド
最初は、北半球唯一の優勝経験国、イングランドをご紹介します。
現在の世界ランキングは8位です。(2023年9月6日時点)
イングランドはワールドカップの優勝経験1回でベスト4常連国でもあり、
北半球勢の中では頭一つ抜けた実績を誇っています。
下馬評を覆して本大会では好成績を収めることも多い、サプライズに満ちたチームでもあります。
ラグビースタイルは、キックと強力なフォワード陣を活かした堅実な戦いを志向し、
基本に忠実で力強いラグビーをモットーとしています。
更にバックス陣には俊足な選手をそろえており、相手の脅威となっています。
伝統的にはキックの名手を輩出し続けており、
キックの場面をいかに作るか、がイングランドの生命線であると言えるでしょう。
実はイングランドは前回大会の準優勝以降、不振に陥っており、
その影響で前述のエディー監督を解任するに至りました。
新監督のもと、どこまで結束できるのかが、カギとなりそうです。
個人的注目選手 3選
マロ・イトジェ
ビリー・ブニポラ
マヌ・ツイランギ
フランス
北半球一の番狂わせ演出国、フランスをご紹介します。
現在の世界ランキングは3位です。(2023年9月6日時点)
フランスはワールドカップの準優勝3回。
なんといってもニュージーランドに対する戦績は素晴らしく、
過去2回、ニュージーランドを破り敗退に追いやっています。
フランスは大会前は下馬評が低いのが常で、
本大会では不思議と高い結束力を見せ、
あれよあれよと勝ち進むことが多いチームです。
その点は、イングランドにも似ている部分があります。
ラグビースタイルは、長短混ぜ合わせたパスと変幻自在なランを組み合わせた、
変則的な攻撃スタイルを保持しています。
そのラグビーは神出鬼没。
水面に浮かんでは消える様に例えて、
「シャンパンラグビー」とも呼ばれています。
また、伝統的に力強いフォワード陣も備えており、
守備面でも優勝候補勢に後れを取りません。
シャンパンラグビーーは、強固なフォワード陣に支えられて成り立っているのです。
2011年の準優勝以降、チームは低迷期に入っていましたが、
前回大会以降、チームは若返りを図って上昇気流に乗り、
優勝経験国の全てから勝利を挙げるなど、
いまチームはノッっています。
初の優勝を視界に捉えたフランス。
果たして悲願は達成されるのでしょうか。
個人的注目選手 3選
バスティアン・シャルロー
アントワーヌ・デュポン
ガエル・フィクー
アイルランド
アイルランドをご紹介します。
現在の世界ランキングは1位です。(2023年9月6日時点)
初めて世界ランキング1位として本大会を迎えることとなりました。
現在の北半球勢の中では頭一つ抜けた実力を誇っています。
過去、数々の世界的な有力選手を抱えながら、
ワールドカップでは不思議と好成績を収めておらず、
最高成績はベスト8どまりとなっています。(7回)
前回大会でも格下の日本相手に底力を見せることなく敗れ、
決勝トーナメント初戦ではニュージーランド相手に歴史的な完封負けを喫するなど、
ファンの記憶にはすっかり敗退する姿が焼き付いてしまっているアイルランドです。
一軍は世界最高と呼べる選手を揃えながら、ケガなどによる離脱、
選手層の薄さが響いたり、組み合わせの運の悪さなどがその要因なのでしょう。
ラグビースタイルは、伝統的には高くて速いフォワード陣を活かし、
ハイパントを繰り返して陣地を稼ぎ、俊足のバックス陣で最後はトライを取りきる
一風変わったスタイルを持っていました。
現在は長短のパスをハーフ陣が供給しながら間断なく攻め続ける、
ニュージーランドのお株を奪うような超攻撃的ラグビーを展開しています。
実は筆者が最も好きなチームがアイルランドであり、
昔から思い入れの強いチームでもあります。
(あのハイパント攻撃、すごい熱いんですよね・・・!)
今大会こそ、悲願のベスト4進出、そして優勝を勝ち取ってほしいと思っています!
個人的注目選手 11選
ダイク・ファーロング
イアン・ヘンダーソン
ピーター・オマホニー
ジョシュ・バンダーフリアー
コナー・マレー
ジョナサン・セクストン
バンディー・アキ
ギャリー・リングローズ
ロビー・ヘンショー
キース・アールズ
ジェームズ・ロー
ウェールズ
次はウェールズをご紹介します。
現在の世界ランキングは10位です。(2023年9月6日時点)
過去大会の最高成績はベスト4(3回)。
ウェールズも下馬評はあまり参考にならず、
本大会では好成績を収めたり、意外に早く敗退したりと
不思議な傾向を持つチームであります。
北半球の強豪には、どこもそういう傾向がありますよね。
ウェールズには、ある特定のポジションに世界最高の選手を抱えるものの、
全体としては優勝するには力が及ばない、という印象があります。
ハマったときはとても強いチームに変貌するのですが・・・
ラグビースタイルは、キックを主体にした堅実なラグビーを展開します。
フォワードは派手ではないのですが基本に忠実で技術が確かな選手を揃えています。
バックス陣も、直線に強い選手が多いのですが、最近は変則的なランナーが出現しており、
時代が変わってきていることを感じさせます。
北半球4強の一角、ウェールズは今大会でどんな好成績を収めてくれるのでしょうか。
個人的注目選手 3選
ガレス・トーマス
ガレス・アンスコム
リアム・ウィリアムズ
スコットランド
次はスコットランドをご紹介します。
現在の世界ランキングは5位です。(2023年9月6日時点)
過去大会の最高成績はベスト4(1回)。
とはいえ、1991年第2回大会の成績であり、
その後はベスト8とプールステージ敗退を繰り返しているチームということもあり、
古豪として扱われることが多いスコットランドです。
前回大会では惜しくも日本にプールステージで敗れて敗退の憂き目に合ったことは
ファンの記憶に新しいことでしょう。
スコットランドは縦のスピードとキックの正確さ、
スピードには優れないものの固くて重いフォワード陣を備えています。
それゆえ、格下相手には圧倒的な勝利を収めるものの、
格上には弱点を突かれて敗北するといった、少し
時代遅れ感のあるチームでした。
しかし近年ではラグビースタイルの近代化を図り、
素早いパスラグビーを志向することで流行の最先端を邁進しています。
その成果は世界ランキングにも表れており、
今大会は好成績を期待する声が多くあがっています。
個人的注目選手 3選
リッチー・グレイ
ジェーミー・リッチー
フィン・ラッセル
イタリア
次はイタリアをご紹介します。
現在の世界ランキングは13位です。(2023年9月6日時点)
過去大会の最高成績はプールステージ止まり(9回)。
全大会に出場していますが、ベスト8に進出したことはありません。
イタリアはシックスネイションズの一員として欧州の強豪国の座に座っていますが、
6か国の中では名実ともに最下位であり、その立場から抜け出したことはありません。
しかし、今年はバランスの良いチームに仕上がっており、
日本にも勝利を収めるなど、大きく成長を遂げチームが強く変貌しました。
今大会もプールステージ敗退は濃厚な情勢ですが・・・
強豪国に一矢報いる準備はできている印象です。
ジョージア
次はジョージアをご紹介します。
現在の世界ランキングは11位です。(2023年9月6日時点)
ジョージアというと、アメリカ合衆国の州の名前とか、缶コーヒーを思い出す方もおられる
と思いますが、れっきとした国名です。
以前はグルジアと呼ばれていましたが、これは旧ソ連時代の名残であり、
ロシア語の影響を排除するため、英語読みのジョージアと呼ばれるようになっているようです。
過去大会の最高成績はプールステージ止まり(5回)。
今回で6大会連続出場のジョージアは着実に実力を伸ばし、
東ヨーロッパ最強国として君臨しています。
ラグビースタイルは、世界最強とも言われるフォワード陣と
正確なキックを駆使するザ・質実剛健。
泥くさいスタイルで、男の匂いがプンプンするラグビーとなっています。
ジョージアの強さは、
旧ソ連時代に広大な領土からラグビー上手達をジョージアの領地に集め、
英才教育をしたということが背景になっていると聞いたことがあります。
そりゃ、あんな屈強なフォワード陣が揃うわな・・・という印象です。
今大会でもジョージア旋風を起こせるのか、注目です。
日本 (ブレイブ ブロッサムズ)
さて最後に我らが日本です。
現在の世界ランキングは14位です。(2023年9月6日時点)
過去大会の最高成績はベスト8(1回)。
前回大会は開催国として望み、初めてのプールステージ突破。
アイルランド、スコットランドを抑えて全勝で激戦区を潜り抜け、
日本がラグビー旋風を巻き起こし、世界に衝撃を与えました。
2015年の前々大会でも史上初めてプールステージで3勝を挙げ、
優勝候補の南アフリカを撃破するなど、
世紀の番狂わせとして話題となったのが、我が日本代表であります。
日本には社会人ラグビーや学生ラグビーがテレビで放映されていた影響もあり、
昔からラグビーが一定の人気を誇っていました。
近年になり、ようやくその下地に花が咲き、
ワールドカップでも勝利を挙げられるようになってきた、というわけです。
日本ではパスラグビーが志向され、長年テクニックを重視したラグビーが用いられてきました。
そこに帰化選手などフィジカルに優れたフォワード陣が混成されることで、
日本ラグビーファンに新しい景色を見せてくれています。
また帰化選手たちは日本の文化に親しみ、日本語を堪能に操る姿が印象的で、
ただラグビーのためだけに帰化した選手たちではないことがわかります。
前回大会でも彼らに親しみを覚えたファンは多かったのではないでしょうか。
さて、今大会では日本は厳しい戦いになることを予想されています。
2023年テストマッチの戦績は振るわず、1勝5敗。
格上だけではなく同格や格下と見られていた
イタリア・フィジー・サモアといった相手に対しても
黒星を重ねてしまいました。
この下馬評を覆し、イングランドとアルゼンチンを本大会で退け、
再びベスト8の景色を日本のファンに見せることができるのか・・・
国民みなで応援しましょう!
まとめ
2023年ラグビーワールドカップの出場有力国を簡単にまとめてみました。
観戦時のご参考にしていただければ、幸いです。
4年に一度のラグビーの大イベント、皆で楽しみましょう!