こんにちは、日本ボクシングの盛り上がりがシンプルにうれしい、アシヤタガラスです!
このページでは、昨今の世界ボクシング市場動向について、
ボクシング観戦歴約30年の筆者がまとめています。
世界ボクシングの傾向を踏まえて、日本ボクシング界はどのように振舞えばよいのか、
いまどのように動いており、どういう未来へ向かっているのか、考察しています。
国ごとの世界王者数
まずは、国ごとの世界王者数を階級区分け毎にまとめて一覧表にみました。
暫定王者もカウントしてます。
階級分けについて
体格で勝敗が大きく左右されるボクシングの世界では、
体重によって18階級に分けられています。
一般に軽量級・中量級・重量級と大きく分けられるのですが、
どこで区切るかについては、人によって様々ですので、
私アシヤタガラスは以下の通りに階級の区分けを定義づけています。
軽量級 ・・・ ミニマム級 ~ フェザー級
中量級 ・・・ スーパーフェザー級 ~ スーパーウェルター級
重量級 ・・・ ミドル級 ~ ヘビー級
なんとなく、スーパーフェザー級は軽量級じゃないよなーとか、村田諒太選手は重量級でしょ!
といった筆者の完全に主観の感覚的な分類なので、もちろん異論あると思います。
日本人の感覚としては大きく外れてはいないと思っていますが、どうでしょうか?
各国の王者数を数えてみて、改めてはっきりとわかるのは、
軽量級の日本勢の強さ
中量級でのアメリカ勢の圧倒的な強さ
重量級でのアメリカ勢の意外な少なさとイギリス勢の台頭
このような特徴があることですね。
世界のボクシング市場について
昔から日本は軽量級で世界でも一定の勢力を築いてきました。
現在も軽量級王者の比率が圧倒的に多く、あのボクシング王国メキシコと互角。
井上尚弥選手を始めとして、階級でも最強と呼ばれる王者を数多く輩出しています。
中量級では、アメリカ勢がほぼ全てのベルトを独占しており、圧倒的な強さを誇っています。
重量級ではアメリカ人王者は意外と少なく、現在はイギリス人王者が最も多い。
2023年現在、重量級を席捲しているのはイギリス勢です。
イギリスは空前のボクシングブームが吹き荒れているようで、
その人気から、一部ではイギリスが新しいボクシングの本場となるという見方もあるほどです。
昔から中重量級のアメリカと言われていますが実態は異なり、
実際はアメリカは中量級に特化しており、決して重量級では強くない、ということが分かります。
この事実から一体何が言えるのでしょうか。
アメリカボクシング界の隆盛は人為的に作ったものだった?!
筆者はボクシング界の印象として、
アメリカなどは中重量級の選手が掃いて捨てても余るほど新しい選手がゴロゴロ出てくるのだろう
という先入観を持っていました。
しかし、それは昔の話。
いまやボクシング競技人口は世界各地へ広がり、各国のレベルが底上げされています。
アメリカですら、中重量級全体を通して覇を唱えることができなくなっているようです。
結果、世界王者数という点だけで考えると、
アメリカは中量級に絞って戦力を注ぎ込んでいるように見えます。
多額の予算をかけ、国を挙げて中量級を盛り上げるべく力を注いできたのでしょう。
過去に優秀なヘビー級王者を幾人も産んできたボクシング最強国アメリカといえど、
現在は中量級に絞ってマーケティングしている・・・ということです。
中量級に絞って各試合に投資を集中することで、試合の存在感を強めてきたのです。
このアメリカボクシング業界を挙げた努力の積み重ねが、
いまのアメリカボクシング界の隆盛を作りあげたといっても過言ではありません。
今のアメリカボクシング界は無為自然に偶然にできたわけではなく、
アメリカ人たちの努力と投資によって人為的に形成された賜物である、と言えるわけです。
意地悪な見方をすれば、いまのアメリカボクシング界は一種のバブルである、
ということもできるのですが、
それはつまり、それ相応の努力を積み重ねれば、アメリカと同じような状況を作れる
ということを意味しているのではないでしょうか。
日本が世界のボクシング界をリードすることはできるのか?
つまり、同じことを日本もやればできる、ということですよね。
日本のボクシングファンの中には、アメリカに対するコンプレックスからか、
日本の王者たちはアメリカで試合をしなければならない、
アメリカで試合をやらないと有名になることもできないし、
ファイトマネーも高額にならない、と主張する人がいます。
ところが、アメリカ市場の本質は、中量級選手向けなのです。
ウクライナ人のロマチェンコが中量級で試合をすれば盛り上がりますが、
日本人軽量級選手の井上尚弥が試合をしても、それ以上の盛り上がりにならない。
同様に、世界戦ができる日本人選手のほとんどは軽量級であるため、
アメリカで試合をしたとしても存在感があがらないのです。
パッキャオとドネアの知名度の差はこれが原因だった
その例として分かりやすいのが、マニー・パッキャオとノニト・ドネアの比較です。
二人はもともと軽量級からキャリアをスタートさせ、爆発的な攻撃力で相手をなぎ倒す、
魅力的なボクサーであり、それぞれ6階級・5階級制覇を成し遂げたフィリピンの英雄たちです。
史上類を見ない圧倒的な成績を残したパッキャオですが、
ドネアもそれに負けず劣らず素晴らしい戦績を残した選手です。
しかし二人の存在感を比較すれば、マニー・パッキャオは世界的な有名人であり、
ボクシングを知らない層ですら名前を聞いたことがあるほどの知名度を誇っている一方、
ドネアはボクシングファンにとって絶大な人気がある反面、一般層には
ほとんどと言っていいほど知名度がありません。
二人ともキャリアの多くをアメリカで過ごしたにもかかわらず、知名度は天と地ほどの差があります。
これはなぜかと言うと、
パッキャオがアメリカの主戦場である中量級に進出して活躍したことにより、
アメリカ人の支持を得て存在感を増幅させたからであり、
ドネアがあくまでも軽量級で活躍をつづけたために、アメリカではいまいち
存在感を発揮できなかった、ということが理由なのです。
二人の比較をすると、
自分の主戦場と市場の傾向を一致させるということが、いかに重要かが分かりますよね。
日本人選手はどこで試合をすべきなのか?
結論を書きますと、日本人は軽量級の本場を主戦場とすべきだと思います。
そして、軽量級の本場はアメリカではないのです。
アメリカで圧倒的な活躍を見せた、ドネアの存在感を考えれば、それがよくわかります。
では、軽量級の本場とは、どこなのか。
それは、ずばり日本です。
軽量級の本場となるには、いくつか条件があります。
王者を多数輩出していること
経済的に裕福であること
ボクシングの歴史があること
軽量級で多数の王者を輩出してきたメキシコ、プエルトリコ、フィリピンといった国々は、
王者の数や歴史においては素晴らしいものをがありますが、
経済的には裕福であるとは言えません。
その点、日本は経済面でも本場となる条件をクリアしており、
必然的に日本が軽量級の本場になる、という寸法です。
井上尚弥選手が所属する大橋ジムの大橋会長は、
日本を軽量級のラスベガスにしたいと公言しています。
それはつまり、日本という舞台を軽量級の本場に成長させ、
日本に海外の有力選手たちを誘致できるようにしたい、という意味です。
井上選手の試合をアメリカで開催することは可能なのですが、
それをやらず、敢えて日本で開催することで
日本全体のボクシング熱を盛り上げようとしているのです。
最近は井上選手の人気に海外の有力選手たちが引き寄せられるように、
大きな試合が日本で成立することが多くなっています。
この勢いに乗っかり、日本でさらに大きな試合をどんどん組んでいくことで、
日本がついには軽量級の本場となることができるのではないでしょうか。
このような動きは今までの日本ボクシング界では、あまり見ることができないものでした。
アメリカで試合を組むというのは、この動きとは逆行するものであるのです。
筆者は、井上選手を始め有力な選手たちが日本で試合を組むことに大賛成です。
そうすることで日本のボクシングの底上げが図られ、結局日本全体のためになるのです。
ボクシングの本場といえばアメリカでしょ、と今までの常識で考えるのではなく、
今のボクシング界がどのようになっているのかという現状把握を行い、
どのようにすれば日本ボクシングが盛り上がるのか、
ということをみんなで真剣にかんがえていけば、
かならず日本のボクシングのためになる、と筆者は考えています。
日本ボクシング界がこれからどのように盛り上がっていくのか。
日本がアメリカのような、軽量級ボクシングの本場になることができるのか。
一ファンとして、そのような未来が来ればいいな、と心の底から思っています。
国名の略号一覧
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